黒沢院長のまとめ
- かぜの治りかけに注意: かぜが長引いて、ドロドロの黄色や緑色の鼻水が続くときに疑います。
- 小さなお子様は「なりにくい」病気です: 乳幼児期はまだ副鼻腔という空間が発達していないため、本格的な副鼻腔炎にはなりにくい構造をしています。
- 長引く「咳」の原因にもなります: 鼻水がのどに流れ落ちることで、夜中や明け方の咳を引き起こします。
- 一番の治療は「鼻水を吸うこと」: お薬に頼る前に、こまめに鼻水を吸ってあげることが何よりの治療であり、予防です。
- 抗生剤はしっかり見極めてから: 「黄色い鼻水=抗生剤」ではありません。長引く場合や症状が重い場合にのみ、適切に使用します。
1. 急性副鼻腔炎(ちくのう症)ってどんな病気?
私たちの顔の骨(おでこ、頬、鼻の奥など)には、「副鼻腔(ふくびくう)」という空洞がいくつかあります。かぜをひいた後、鼻の中の炎症がこの空洞にまで広がり、そこに膿(うみ)がたまってしまうのが「急性副鼻腔炎」です。いわゆる「ちくのう症」のことですね。
2. 小さなお子様は「なりにくい」って本当?
実はお子様の年齢によって、副鼻腔炎への「なりやすさ」は大きく変わります。
赤ちゃんから3〜4歳くらいの小さなお子様は、顔の骨格がまだ成長途中のため、この「副鼻腔」という空洞自体がほとんど作られていません。空間が狭すぎるため、膿がたまるスペースがなく、医学的にはそもそも本格的な副鼻腔炎という病態として成立しにくいのです。 この時期の長引く鼻水は、多くの場合「長引いている、少し手強いかぜ」として対応します。
体が大きくなり、顔の骨格がしっかりしてくる幼稚園の年中〜年長さん、小学生くらいになってくると副鼻腔の空間も広がり、大人のように副鼻腔炎にかかりやすくなってきます。
3. 気づいてあげるためのサイン
かぜの症状から始まり、以下のような様子が見られたら副鼻腔炎のサインかもしれません。
- ドロドロの鼻水が長引く: かぜをひいて1週間以上経っても、黄色や緑色の粘り気のある鼻水がスッキリ治らない。
- 夜や明け方に咳き込む: たまった鼻水がのどの奥に流れ落ちる(後鼻漏:こうびろう)ため、横になった時や朝起きた時に「ゴホゴホ、ゼロゼロ」と湿った咳が長く続きます。
- お顔や頭を痛がる: ある程度大きなお子様の場合、「ほっぺたが痛い」「おでこが痛い」「頭が痛い」と教えてくれることがあります。
- 匂いがわからない: 鼻の奥が腫れるため、ご飯の匂いが分からなくなることがあります。
4. 治療とお薬について
【一番の特効薬は「鼻水吸引」】 副鼻腔炎の治療で最も効果的で大切なのは、たまった鼻水を物理的に外に出してあげることです。ご家庭用の鼻水吸引器でこまめに吸ってあげたり、優しく鼻をかむ練習をしたりしましょう。鼻の中を綺麗に保つことが、一番早く治る近道です。
【お薬の考え方】
- 去痰薬(痰きり・鼻水出し): かぜの時と同じように、カルボシステイン(ムコダインなど)を使って、ドロドロの鼻水をサラサラにして出しやすくします。
- 抗菌薬(抗生物質): 「黄色い鼻水が出たからすぐに抗生剤が必要」というわけではありません。ウイルスによる軽い炎症であれば、鼻水を吸いながら自然に治るのを待ちます。しかし、10日以上症状が全く良くならない場合や、高いお熱とドロドロの鼻水が何日も続くなど「細菌」が悪さをしている可能性が高いと判断した場合は、必要に応じて抗菌薬を処方します。
5. お家での過ごし方
- 水分をたっぷりと: 水分をしっかり取ることで、ドロドロの鼻水が少しサラサラになり、出しやすくなります。
- お部屋の加湿を: 空気が乾燥すると鼻の粘膜がカサカサになり、鼻水が固まりやすくなります。加湿器などでお部屋の湿度を保ってあげてください。




