黒沢院長のまとめ
- 一番の薬は「出し切ること」: 下痢や嘔吐はバイ菌を外に出そうとする体の反応です。下痢止めで無理に止める必要はありません。
- 脱水のサインを見逃さない: おしっこが半日以上出ない、目がくぼんでいる、ぐったりしている時は要注意です。
- 水分補給は「スプーン1杯」から: 一気に飲ませると吐いてしまいます。少しずつ、何度もあげるのがコツです。
- 登園の目安: 「嘔吐・下痢が治まり、普段の食事が取れるようになってから24時間」がひとつの目安です。
1. 急性胃腸炎ってどんな病気?
多くはウイルス(ノロウイルス、ロタウイルスなど)が原因で、胃や腸の粘膜に炎症が起きる病気です。突然の吐き気から始まり、その後にお熱や下痢が続くのが一般的な経過です。 ウイルスを直接やっつける薬はなく、自分の免疫力でウイルスを追い出すのを待つのが基本となります。また、子どもの急性胃腸炎においてノロウイルスなのか?ロタウイルスなのか?等を確定させるための検査は原則として実施しません。検査を実施したところで、薬も、対策方法も、登園停止期間も、何も変わらないためです。
2. 当院の処方方針
胃腸炎の治療で最も大切なのは、体の中のウイルスを外に出し切ることです。
- 整腸剤(ミヤBM、ビオフェルミンなど):腸内の細菌バランスを整え、回復をサポートします。
- 吐き気止め(ナウゼリンなど):吐き気が強くて水分が全く取れない時に、補助的に座薬などを使用することがあります。
当院では、原則として下痢止め(ロペミンなど)は処方いたしません。 下痢を無理に止めてしまうと、ウイルスが腸の中に長く留まることになり、かえって病気を長引かせたり、症状を悪化させたりすることがあるためです。
3. 経口補水療法
胃腸炎の治療において、点滴よりも安全で効果的と言われているのが「経口補水療法」です。
【経口補水療法の方法】
- 吐いた直後は30分〜1時間は何も与えない: 胃を休ませることが先決です。
- 少量から開始: OS-1(オーエスワン)などの経口補水液を、まずはスプーン1杯(約5ml)から与えてください。
- 時間をあけて繰り返す: 5分〜10分おきに、吐かないことを確認しながら、少しずつ量を増やしていきます。
一度にたくさん飲ませると、その刺激でまた吐いてしまいます。「ちびちび、何度も」が、脱水を防ぐ最大の秘訣です。
4. お食事について
無理に食べさせる必要はありません。水分がしっかり取れていれば、丸一日絶食しても大丈夫です。 吐き気が落ち着いてきたら、以下のような消化の良いものから少しずつ始めてみましょう。
- おかゆ、うどん(柔らかく煮たもの)
- すりおろしたリンゴ
- ゼリー
油っこいもの、乳製品、冷たすぎる飲み物は、腸を刺激して下痢を悪化させることがあるので、しばらくは控えましょう。
5. 登園・登校の目安
胃腸炎は周囲への感染力が強いため、登園のタイミングには注意が必要です。以下の条件をすべて満たしていることが目安となります。
- 嘔吐や下痢が止まっていること。
- 普段通りの食事が取れるようになっていること。
- 上記の状態になってから「24時間」が経過していること。
「朝起きて吐いていないから」とすぐに登園させると、集団生活の中で再び症状が出たり、他のお子様に広めてしまったりするリスクがあります。お家で丸一日、元気に過ごせることを確認してから復帰しましょう。 ※園や学校によって独自の規定がある場合は、そちらに従ってください。
6. もう一度受診する目安
以下のような「脱水」のサインが見られたり、他の病気が疑われたりする場合は、早めに再診、または夜間救急を受診してください。
- おしっこが半日以上出ていない、または色が非常に濃い。
- 水分を全く受け付けず、何度も繰り返し吐いてしまう。
- 目がくぼんでいる、口の中がカラカラに乾いている。
- 泣いても涙が出ない。
- 激しい腹痛が続いたり、便に血が混じったりしている。
- 意識がはっきりせず、ぐったりして視線が合わない。




