黒沢院長のまとめ
- どちらも夏風邪の代表格です: 原因となるウイルスの仲間が共通しており、口の中に痛い水疱(みずぶくれ)ができるのが特徴です。
- 見分け方のポイント: 手足口病は名前の通り手足にも発疹が出ますが、ヘルパンギーナは突然の高熱とのどの奥の水疱がメインです。
- 最大の課題は「痛み」と「脱水」: 口内炎が痛くて飲めない・食べられない状態をどう乗り切るかが治療のすべてです。
- 痛み止めを賢く使う: お熱がなくても、口の痛みを和らげるためにアセトアミノフェン(カロナールなど)を積極的に活用しましょう。
1. 手足口病とヘルパンギーナ、どう違うの?
どちらもウイルス感染症で、特効薬がない点は共通していますが、症状の出方に少し違いがあります。
- 手足口病: 手のひら、足の裏、膝、おしりなどに小さな水疱状の発疹が出ます。口の中にも水疱ができ、破れると痛い口内炎になります。お熱は出ないか、出ても38度くらいまでで数日で下がることが多いです。
- ヘルパンギーナ: 突然39度前後の高熱で発症します。のどの奥(軟口蓋)に小さな水疱や潰瘍がたくさんでき、のどが非常に強く痛みます。手足に発疹は出ないのが一般的です。
2. お薬と治療の考え方
どちらもウイルスが原因ですので、抗生剤は効きません。また、インフルエンザのような抗ウイルス薬もありません。自分の免疫力でウイルスを追い出すのを待つ「対症療法」を行います。
- 解熱鎮痛剤(アセトアミノフェンなど): 当院では、お熱を下げる目的だけでなく、のどや口の痛みを抑えるために処方します。痛みが強くて水分が取れないときは、時間を調整して使ってあげましょう。
- 塗り薬・うがい薬: 手足の発疹に塗り薬は必要ありません。口の中の塗り薬も、小さなお子様では塗ること自体が刺激になって嫌がることが多いため、基本的には飲み薬での痛み管理を優先します。
3. しみるのを防ぐ食事の工夫
口の中が傷だらけの状態なので、とにかく刺激を避けることが大切です。
- 食べやすいもの: 冷たいゼリー、プリン、アイスクリーム、冷ましたおじや、お豆腐、冷やしうどん。
- 避けるべきもの: オレンジジュースなどの酸味があるもの、ケチャップ料理、塩辛いもの、熱いもの、パンなどのパサパサしてのどに刺さるもの。
水分補給は、一度にたくさん飲ませようとせず、本人が飲み込みやすい温度(少し冷ため)のものを、スプーンやストローでこまめに与えてください。
4. 登園・登校の目安
どちらの疾患も、法律で定められた一律の出席停止期間はありません。以下の条件をクリアしていれば登園可能です。
- お熱が下がっていること。
- のどの痛みが落ち着き、普段通りの食事が取れるようになっていること。
手足口病の発疹は、治りかけに皮が剥けたり、数週間後に爪が剥がれたりすることがありますが、これらは自然な経過ですので心配いりません。また、便の中には1ヶ月近くウイルスが排出され続けるため、おむつ替えの後の手洗いはいつも以上に丁寧に行いましょう。
5. すぐに受診してほしい危険なサイン
非常に稀ですが、髄膜炎や脳炎などを合併することがあります。以下のような様子が見られたら、すぐに受診してください。
- 何度も繰り返し吐く。
- 視線が合わない、呼びかけへの反応が鈍い、ぐったりしている。
- 頭痛を強く訴える。
- 水分が全く取れず、半日以上おしっこが出ていない。




