黒沢院長のまとめ
- かぜの延長戦です: 鼻やのどのバイ菌が、耳の奥に入り込んで起こります。子どもは構造上、中耳炎になりやすいのです。
- 耳の痛みと夜泣きがサイン: まだ言葉が話せない赤ちゃんは、不機嫌になったり、しきりに耳を触ったりします。
- 痛み止め(解熱剤)が活躍します: お熱がなくても、痛みを和らげるためにアセトアミノフェン(カロナールなど)を使ってあげてください。
- 抗生剤は必要なときだけ: 軽症なら自分の免疫力で治ることもありますが、重症度や年齢に合わせて適切に抗生剤を使用します。
- 痛みが消えても「完治」ではありません: 耳の中に水が残ると難聴の原因になるため、医師が「もう大丈夫」と言うまで通院することが大切です。
1. 急性中耳炎ってどんな病気?
急性中耳炎は、鼓膜の奥にある「中耳(ちゅうじ)」というお部屋に、ウイルスや細菌が入り込んで炎症を起こし、膿(うみ)がたまってしまう病気です。 ほとんどの場合、まず「かぜ」をひいて、鼻水やのどの炎症が起きた後に、そのバイ菌が耳に移動することで発症します。
2. どうして子どもは中耳炎になりやすいの?
鼻の奥と耳の奥(中耳)は、「耳管(じかん)」という細いトンネルで繋がっています。 大人の耳管は細くて傾斜があるのに対し、お子様の耳管は太くて、短くて、水平に近い形をしています。そのため、かぜをひいて鼻水が出ると、そこにいるバイ菌が簡単に耳の奥へとトンネルを渡ってしまい、中耳炎になりやすいのです。成長とともに耳管の形が大人に近づくにつれて、中耳炎にかかる回数も減っていきます。
3. 気づいてあげるためのサイン
言葉で「耳が痛い」と言える年齢のお子様であれば分かりやすいですが、まだお話ができない赤ちゃんの場合は、以下のようなサインに注意してあげてください。
- かぜ(特に鼻水)が数日続いている
- 夜中に突然、激しく泣き出す
- しきりに耳を触ったり、気にしたりする
- ミルクの飲みが悪い、機嫌が悪い
- 耳から黄色い汁(耳だれ)が出ている
※鼓膜の奥に膿がパンパンにたまると、鼓膜が破れて「耳だれ」として外に出てくることがあります。血が混じって驚かれるかもしれませんが、膿が出ると圧力が下がるため、お子様自身は痛みがスッと楽になることが多いです。慌てずに受診してくださいね。
4. 治療とお薬について
中耳炎の治療は、重症度(鼓膜の赤みや腫れ具合)やお子様の年齢によって変わります。
【痛みには解熱鎮痛剤を】 中耳炎の痛みは、特に夜間に強くなる傾向があります。「お熱のお薬」としてお渡ししているアセトアミノフェン(カロナールやアンヒバなど)は、立派な「痛み止め」でもあります。熱がなくても、痛がって眠れないときは迷わず使って、少しでも楽にしてあげてください。
【抗菌薬(抗生物質)の使い方】 当院では「ただのかぜ」に抗菌薬は使いませんが、中耳炎の場合はバイ菌(細菌)が悪さをしていることが多いため、抗菌薬を処方することがあります。ただし、軽症であれば自分自身の免疫力で自然に治ることも多いため、数日は痛み止めだけで様子を見ることもあります。ガイドラインに基づき、必要最小限の抗菌薬を適切に使用します。
※抗生剤が出る場合、1日3回のタイプが出ることがほとんどです。登園などで昼の薬が飲めない場合、夕方家に帰ってきてから昼の分を飲んで構いません。夜の薬との間隔は、3時間ほど空けていただければ十分です。
5. 痛みがなくなっても、通院が必要な理由
実は、中耳炎の治療で一番大切なのはここからです。 お薬を飲んで2〜3日すると、痛みやお熱はすっかり良くなり、元気になります。しかし、この段階ではまだ鼓膜の奥に「膿の残りのような水」がたまっている状態です。
ここで治療をやめてしまうと、水がずっと抜けずに「滲出性(しんしゅつせい)中耳炎」という別の病気に移行し、お子様の聞こえ(聴力)が悪くなってしまうことがあります。 痛みがなくなっても、医師が鼓膜を見て「すっかり綺麗になりましたね、もう大丈夫ですよ!」とお伝えするまでは、自己判断で通院やお薬をやめないようにしましょうね。
6. お家での過ごし方とケア
- 鼻水をこまめに吸う: 中耳炎の最大の原因は「鼻水」です。ご家庭用の鼻水吸引器などを使って、優しく吸ってあげてください。(強くかみすぎると耳に負担がかかるので注意しましょう)
- お風呂について: お熱がなく機嫌が良ければ、お風呂に入っても大丈夫です。ただし、長湯は血行が良くなりすぎて耳の痛みが増すことがあるので、サッと済ませましょう。耳だれが出ている時は、耳の中に水が入らないように気をつけてください。




