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子どもの「大豆アレルギー」について

黒沢院長のまとめ

  • 三大アレルゲン(卵・乳・小麦)に比べると頻度は低く、治りやすいです: 離乳食で豆腐やきな粉を食べて発覚することが多いですが、成長に伴って非常に高い確率で食べられるようになります(耐性獲得)。
  • 「醤油」や「味噌」「大豆油」は基本的に制限不要です: 発酵・精製される過程でタンパク質が分解・除去されるため、これらでアレルギー症状が出ることは基本的にはありません。
  • 検査項目の「Gly m 4」は豆乳を飲んだ時の「口のイガイガ」に関係します: 血液検査でこの数値が高い場合、豆乳などを飲んだ時に口の中がかゆくなる「口腔アレルギー症候群」を起こしやすい傾向があります。
  • 食べて数時間後に吐く「FPIES」の原因にもなりやすい食材です: じんましんが出ず、食後に激しい嘔吐を繰り返す消化管アレルギー(FPIES)の原因として、大豆が関与することがあります。

1. 大豆アレルギーってどんな特徴があるの?

お子様の食物アレルギーの原因として、卵、牛乳、小麦の「三大アレルゲン」に次いで見られることが多いのが「大豆」です。生後半年頃からの離乳食で、豆腐やきな粉などを初めて食べた際に、口の周りが赤くなったりじんましんが出たりして発覚するケースがよく見られます。

しかし、大豆アレルギーは消化機能や免疫機能の発達とともに、成長に伴って自然に治っていく確率が非常に高いアレルギーです。多くのお子様が、3歳〜小学校入学頃までには制限なく大豆製品を食べられるようになります。

2. 調味料や油は除去不要です

大豆アレルギーと診断されると、「和食が作れない!」と戸惑う親御さんが多いのですが、すべての大豆製品を避ける必要はありません。製造過程によって、アレルギーを起こす力(抗原性)が大きく異なります。

  • 制限しなくてよいもの(基本的に安全なもの)
  • 醤油・味噌: 小麦の時にもお話ししましたが、発酵・熟成される過程でアレルギーの原因となるタンパク質がアミノ酸レベルまで完全に分解されるため、基本的には使って大丈夫です。
  • 大豆油・乳化剤(大豆レシチン): 精製される過程でタンパク質が取り除かれているため、これらで症状が出ることはまずありません。
  • 注意が必要なもの(症状が出やすいもの)
  • 豆乳、豆腐、きな粉、ゆば、おから、枝豆: 大豆のタンパク質がしっかり残っているため、アレルギー症状を引き起こしやすくなります。これらは医師の指導のもと、安全な量を確認しながら進める必要があります。

納豆は発酵食品ですが、タンパク質の分解が不完全なため、症状が出るお子様と出ないお子様に分かれます。また、納豆のネバネバが口の周りに付いてかぶれる「接触性皮膚炎(アレルギーではない単なる肌荒れ)」を起こすことも多いため、見極めが必要です。

3. 血液検査のコンポーネント:「Gly m 4(グライ・エム・フォー)」

大豆アレルギーが疑われる場合、血液検査では「大豆」全体のほかに、「Gly m 4」という成分(コンポーネント)を調べることがあります。

この「Gly m 4」は、シラカンバなどの花粉に含まれる成分と構造が非常に似ているため、花粉症を持っているお子様が豆乳などを飲んだ時に、口の中やのどがイガイガ・かゆくなる「口腔アレルギー症候群(OAS)」を引き起こす原因として知られています。 「豆腐は食べられるのに、豆乳を飲むと口をかゆがる」といった場合は、このGly m 4への反応が疑われます。

4. 消化管アレルギー(FPIES)との関連

別のブログでも解説している、「じんましんが出ず、食べてから1〜4時間後に激しい嘔吐や下痢を繰り返す」という消化管アレルギー(FPIES)。 日本において、このFPIESを引き起こす代表的な原因食材は「卵黄」「牛乳」ですが、それに次いで「大豆」も原因になりやすいことが分かっています。

「初めて豆腐を少し食べた日は何ともなかったのに、数日後にもう少し量を増やして食べさせたら、数時間後に激しく吐いて顔色が悪くなった」といった場合は、一般的な食物アレルギーではなくFPIESの可能性を疑って対応します。

5. 診断と治療の進め方

大豆は血液検査(大豆特異的IgE抗体)が陽性に出やすいものの、「検査の数値が高くても、実際には豆腐を食べられる」というお子様が非常に多い食材です。そのため、血液検査の結果だけで完全除去をするのは推奨されません。

正確な診断のためには、実際に病院で豆腐などを少しずつ食べてみる「食物経口負荷試験(OFC)」が最も確実です。

治療の目標は、「必要最小限の除去」です。 例えば、「冷奴は無理だけれど、お味噌汁の上澄みなら大丈夫」「少しの豆腐なら食べられる」といった安全なラインを見つけます。そして、医師の指導のもとでその安全な量を日常生活で食べ続けることで、体を少しずつ慣らしていく(耐性獲得を目指す)のが現在の治療の基本になります。

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