黒沢院長のまとめ
- 現在、お子様のアレルギーで急増しています: 特に「クルミ」や「カシューナッツ」のアレルギーが近年非常に増えており、クルミは法律でアレルギー表示が義務付けられました。
- ピーナッツと同じく、治りにくく重症化しやすいです: ごく微量でもアナフィラキシーなどの強い症状が出やすく、成長しても自然に治る(耐性を獲得する)割合が低いのが特徴です。
- 「グループ(仲間)」でアレルギーを起こすことがあります: 「クルミとペカンナッツ」「カシューナッツとピスタチオ」はタンパク質の構造が似ているため、片方がダメならもう片方も症状が出やすい傾向(交差反応)があります。
- 検査の「Jug r 1」などは重症度の目安になります: クルミの場合、血液検査でこの成分(コンポーネント)の数値が高いと、強い症状が出る危険性が高くなります。
- 5歳以下のお子様に「丸ごとのナッツ」は絶対にNGです: アレルギー以前の問題として、噛み砕けないナッツが気管に詰まって窒息する事故が多発しているため、与える場合はペースト状にする必要があります。
1. ナッツアレルギーの現状
ここ数年、小児アレルギーの診察室で最も「増えている」と実感するのが、クルミやカシューナッツをはじめとする「木の実類(ナッツ)」のアレルギーです。 食の欧米化や、健康志向の高まりでナッツ類を日常的に食べるご家庭が増えたことなどから、離乳食〜幼児期に初めてナッツを口にして発覚するケースが急増しています。現在では、卵・牛乳・小麦に次いで4番目に多い原因食材となっています。
前回のピーナッツ(マメ科)とは植物としての分類は違いますが、アレルギーとしての性質はよく似ており、「微量でも重篤な症状(アナフィラキシー)が出やすい」「成長しても自然に治りにくい」という非常に厄介な特徴を持っています。
2. ひとくくりにしない!ナッツの「交差反応」
「クルミアレルギーと診断されたから、アーモンドもマカダミアナッツも諦めています」という親御さんがいらっしゃいますが、少しお待ちください。
ナッツと一口に言っても植物の分類は様々で、「あるナッツがダメなら、すべてのナッツが食べられない」というわけではありません。ただし、以下の組み合わせはタンパク質の構造が非常に似ているため、片方にアレルギーがあると、もう片方でも症状が出やすい「交差反応」が強く見られます。
- クルミ と ペカンナッツ(ピーカンナッツ)
- カシューナッツ と ピスタチオ
一方で、「アーモンド」や「マカダミアナッツ」「ヘーゼルナッツ」などは、上記とはまた別のグループになります。不必要な食事制限でお子様の食の楽しみを奪わないよう、クリニックで「どのナッツが食べられて、どのナッツが危険か」を一つずつ正しく見極めることが重要です。
3. 血液検査について
ナッツアレルギーの血液検査でも、原因をより詳しく調べるための成分(コンポーネント)検査が活用されています。
日本で最も多いクルミアレルギーの場合、「Jug r 1(ジュグ・アール・ワン)」というコンポーネントを調べます。この数値が高い場合、クルミを食べた際にアナフィラキシーなどの重篤な症状を引き起こす危険性が高いと判断する重要な目安になります。 (カシューナッツの場合は「Ana o 3(アナ・オー・スリー)」というコンポーネントが重症度の目安になります)。
4. 誤食を防ぐために
ナッツ類は、お菓子(クッキー、ケーキ、チョコレートなど)だけでなく、パン生地に練り込まれていたり、カレールーの隠し味、ドレッシング、洋食屋さんのソースなど、ペースト状になって思いがけないところに潜んでいることがよくあります。
クルミアレルギーの急増を受け、近年法律が改正され、「クルミ」は食品パッケージへのアレルギー表示が義務(特定原材料)となりました。 また、「カシューナッツ」「アーモンド」「マカダミアナッツ」なども表示が推奨されています。 食品を買う時や外食の際には、必ず原材料表示を細かくチェックする習慣を徹底してください。
5. 5歳以下に「丸ごと・砕いたナッツ」はNG
これはアレルギーのあるなしに関わらずのお話ですが、5歳以下のお子様に「丸ごとのナッツ」や「粗く砕いたナッツ」をそのまま与えるのは絶対にやめてください。 小さなお子様は奥歯で食べ物をすり潰す力が弱く、また気管も狭いため、ナッツが気管にスッポリと入り込んで窒息したり、重症の肺炎(誤嚥性肺炎)を起こしたりする事故が後を絶ちません。
ナッツ類に挑戦する際や、少しずつ食べて慣らす治療を行う場合は、必ず「なめらかなペースト状」のものを使用してください。少しでもご不安な点があれば、自己判断せずに診察室でご相談くださいね。




