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子どもの「小麦アレルギー」について

黒沢院長のまとめ

  • 卵、牛乳に次いで多いですが、こちらも治りやすいアレルギーです: 離乳食でパンやうどんを食べて発覚することが多いですが、小学校入学頃までに多くのお子様が食べられるようになります(耐性獲得)。
  • 「醤油(しょうゆ)」などの調味料は基本的に安全です: 原材料に小麦とあっても、発酵の過程でタンパク質が分解されるため、醤油でアレルギー症状が出ることは基本的にはありません。
  • 検査項目の「ω-5グリアジン」は重症度の目安になります: 血液検査でこの数値が高いと、強い症状が出やすいため、より慎重に治療を進める必要があります。
  • 「安全に食べられる量」を探して少しずつ慣らします: 卵や牛乳と同様に、完全除去ではなく、医師の管理のもとで安全な量を見つけ、少しずつ食べて体を慣らしていくのが基本です。

1. 小麦アレルギーってどんな特徴があるの?

お子様の食物アレルギーの原因として、卵、牛乳に次いで3番目に多いのが「小麦」です。生後数ヶ月〜1歳頃の離乳食で、うどんやパン、ベビーフードなどを初めて食べた際に、口の周りが赤くなったり、じんましんが出たりして発覚するケースがよく見られます。

卵や牛乳と同様に、成長とともに胃腸の消化吸収機能や免疫機能が発達するため、成長に伴って自然に治っていく確率が高いアレルギーです。多くのお子様が、就学前〜小学校低学年頃までには制限なく小麦を食べられるようになります。

2. 血液検査のコンポーネント:「ω(オメガ)-5グリアジン」

小麦アレルギーが疑われる場合、血液検査では「小麦」全体のほかに、「ω-5グリアジン」という成分(コンポーネント)を調べることがあります。

小麦のタンパク質にはいくつかの種類がありますが、この「ω-5グリアジン」に対する反応が強い(数値が高い)お子様は、アナフィラキシーなどの強いアレルギー症状が出やすい傾向があります。 また、ある程度大きくなってから、小麦を食べて運動をした時にだけ強い症状が出る「食物依存性運動誘発アナフィラキシー」という特殊なタイプのアレルギーに関わっていることも多いため、この数値が高い場合はより慎重な管理が必要になります。

3. 間違えやすいポイントとよくある誤解

小麦は様々な食品に使われているため、「あれもダメなのでは?」と不安になりやすいですが、医学的に「制限しなくてよいもの」を正しく知っておくことが大切です。

  • 「醤油」などの調味料は除去不要です お醤油の原材料を見ると「大豆、小麦…」と書いてありますが、醸造(発酵・熟成)される過程で、アレルギーの原因となるタンパク質はアミノ酸レベルまで完全に分解されてしまいます。そのため、小麦アレルギーであっても基本的にお醤油は使って大丈夫です。
  • 大麦(麦ごはん)やライ麦、オーツ麦には注意 一方で、大麦そのもの(麦ごはんなど)や、ライ麦(ライ麦パンなど)、オーツ麦などは、小麦のタンパク質と構造が似ている部分があるため(交差反応と呼びます)、一部のお子様では症状が出ることがあります。これらを初めて食べる時は、少しずつ慎重に与えるようにしてください。

4. 診断と治療の進め方(少しずつ慣らす)

血液検査の数値が高いからといって、必ずしも完全除去が必要なわけではありません。正確な診断のためには、実際にクリニックで茹でたうどんなどを少しずつ食べてみる「食物経口負荷試験(OFC)」が最も確実です。

治療の目標は、「必要最小限の除去」です。 例えば、「うどん1玉は無理だけれど、数センチなら食べられる」といった安全なラインを見つけます。そして、医師の指導のもとでその安全な量を日常生活で食べ続けることで、体を少しずつ慣らしていく(耐性獲得を目指す)のが現在の治療の基本になります。

5. 誤食を防ぐために(米粉などの代替品の活用)

小麦はパンや麺類だけでなく、カレーのルー、ハンバーグのつなぎ、揚げ物の衣、餃子の皮、市販のお菓子など、非常に幅広い料理に使われているため、外食時や加工食品を買う際には「アレルギー表示(小麦)」の確認が必須です。

現在は、スーパーでも米粉で作られたパンや麺、小麦不使用(グルテンフリー)のカレールー、米粉のパン粉などが手軽に手に入るようになりました。これらを上手に活用しながら、無理のない範囲で安全な食生活を送れるように工夫していきましょう。

少しずつ食べて慣らす治療はご家庭の判断で行うと危険を伴う場合があります。うどんやパンの進め方で不安な点があれば、いつでも診察室でご相談ください。

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