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子どもの「牛乳アレルギー」について

黒沢院長のまとめ

  • 卵に次いで多いですが、治りやすいのが特徴です: 乳幼児期の食物アレルギーの原因として2番目に多いですが、3歳〜小学校入学頃までに多くのお子様が飲めるようになります(耐性獲得)。
  • 原因となる成分(コンポーネント)によって熱への強さが違います: 牛乳の主なタンパク質である「カゼイン」は熱に非常に強いため、加熱しても症状が出やすい点に注意が必要です。
  • 「乳」の表示チェックが欠かせません: パンやお菓子、加工肉など非常に多くの食品に含まれています。「乳化剤」など間違えやすい表示にも気をつけましょう。
  • 「安全に食べられる量」を探して少しずつ慣らします: 卵と同様に、完全除去ではなく、医師の管理のもとで症状が出ない安全な量(あるいは加工品)を見つけ、少しずつ摂取していくのが基本です。

1. 牛乳アレルギーってどんな特徴があるの?

お子様の食物アレルギーの原因として、卵に次いで多いのが「牛乳」です。 粉ミルク(人工乳)を飲んだ時や、離乳食でパン粥、ヨーグルト、チーズなどを初めて口にした時に、口の周りが赤くなったり、じんましんが出たりして発覚するケースがよく見られます。

卵と同様に、成長とともに胃腸の消化吸収機能や免疫機能が発達するため、成長に伴って自然に治っていく確率が非常に高いアレルギーです。多くのお子様が3歳頃までに約半数、小学校入学頃までには大部分が制限なく牛乳や乳製品を摂取できるようになります。

2. 牛乳の「どの成分」が原因?(アレルゲンコンポーネント)

牛乳のタンパク質は、大きく分けて「カゼイン」「乳清(ホエイ)」の2つの成分(コンポーネント)からできており、それぞれ性質が異なります。血液検査でもこれらの項目を調べることがあります。

  • カゼイン(牛乳タンパクの約80%): 最大の原因物質です。卵のアレルゲンとは違い、「熱に非常に強い」という厄介な特徴を持っています。そのため、「ホットミルクにすれば大丈夫」「グラタンのようにグツグツ焼けば大丈夫」とはならず、加熱調理をしても症状が出やすい点に十分な注意が必要です。
  • 乳清タンパク(牛乳タンパクの約20%): この中には「β-ラクトグロブリン」や「α-ラクタルブミン」といった成分が含まれます。これらはカゼインとは対照的に「熱に弱い」性質を持っています。そのため、血液検査でカゼインの反応が弱く、こちらの乳清タンパクへの反応がメインのお子様の場合は、しっかり加熱した乳製品であれば食べられる可能性があります。

3. 間違えやすいポイントとよくある誤解

診察室でよくご質問いただく、牛乳アレルギーに関する誤解しやすいポイントを整理します。

  • 「乳糖」でお腹がゴロゴロするのはアレルギーではありません 牛乳を飲むとお腹がゴロゴロしたり、下痢をしてしまったりする症状を「乳糖不耐症」と呼びます。これは牛乳に含まれる「糖分(乳糖)」を腸の中で分解する酵素が足りないために起こる、単なる「消化不良」です。タンパク質に対する免疫の過剰反応である食物アレルギーとは全く別の仕組みであるため、じんましんが出たり、アナフィラキシーショックのような危険な状態になったりすることはありません。
  • 「牛肉」は食べても大丈夫? 「牛乳がダメなら牛肉もダメなのでは?」と心配されることがありますが、原因となるタンパク質が全く異なるため、牛乳アレルギーであっても基本的に牛肉は問題なく食べられます。
  • お母さんの食事制限(母乳への移行)について お母さんが牛乳や乳製品を飲食し、それが母乳に移行してお子様に症状が出るケースは極めて稀です。医師の明確な指示がない限り、予防目的などでお母さん自身が不必要な食事制限(牛乳除去)をする必要はありません。
  • 「乳化剤」は牛乳ではありません 食品の成分表示にある「乳化剤」は、水と油を混ざりやすくするための食品添加物であり、乳成分(牛乳)ではありません。「乳」という漢字が含まれているため驚かれる方が多いですが、アレルギーとは無関係ですので避ける必要はありません。

4. 診断と治療の進め方(少しずつ慣らす)

血液検査の数値が高いからといって、必ずしも完全除去が必要なわけではありません。正確な診断のためには、実際に病院で原因と思われる乳製品を少しずつ食べてみる「食物経口負荷試験」が最も確実です。

治療の目標は、「必要最小限の除去」です。 例えば、「牛乳そのものはコップ1杯飲めないけれど、クッキーやビスケットに少し含まれている乳成分なら大丈夫」といった安全なラインを見つけます。そして、医師の指導のもとでその安全な量を日常生活で摂取し続けることで、体を少しずつ慣らしていく(耐性獲得を目指す)のが現在の治療の基本になります。

5. 誤食(間違えて食べてしまうこと)を防ぐために

牛乳や乳成分は、見た目では入っているかどうかが非常に分かりにくいため、誤食に注意が必要です。 バター、チーズ、生クリーム、ヨーグルトといった明らかな乳製品はもちろんですが、市販の食パンや菓子パン、ケーキ、チョコレート、さらにはハムやウインナーなどの加工肉にも「つなぎ」や「コク出し」として乳成分が含まれていることがよくあります。

新しい食品をお子様に与える際は、必ずパッケージの裏にある「アレルギー表示(乳)」を確認する習慣をつけてください。

少しずつ食べて慣らす治療はご家庭の判断で行うと危険を伴う場合があります。乳製品の進め方や、保育園・幼稚園での生活管理(給食の対応など)で不安な点があれば、いつでも診察室でご相談くださいね。

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