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子どもの「卵アレルギー」について

黒沢院長のまとめ

  • 乳幼児期に最も多いアレルギーですが、治りやすいのが特徴です: 赤ちゃんの食物アレルギーの原因として一番多いのが「鶏卵」ですが、小学校入学頃までに多くのお子様が食べられるようになります(耐性獲得)。
  • 原因のほとんどは「卵白(白身)」にあります: アレルギーを起こす原因物質(アレルゲン)は、卵黄(黄身)よりも卵白に多く含まれています。
  • 「しっかり加熱」するとアレルギーを起こす力が弱まります: 卵のアレルゲンは熱に弱く、20分ほどしっかり茹でた「固ゆで卵」にすると形が変わり、安全に食べやすくなります。
  • 検査の「オボムコイド」は熱への強さの指標です: 血液検査でオボムコイドの数値が低ければ、加熱した卵なら食べられる可能性が高いと判断する一つの目安になります。

1. 卵アレルギーってどんな特徴があるの?

お子様の食物アレルギーの原因として、圧倒的に多いのが「卵」です。特に生後半年頃からの離乳食開始時期に、初めて卵を食べて赤みやじんましんが出て発覚するケースがよく見られます。

しかし、過度に悲観する必要はありません。卵アレルギーは、消化機能の発達とともに原因物質を分解できるようになるため、成長に伴って自然に治っていく(耐性を獲得する)確率が非常に高いアレルギーでもあります。多くのお子様が、3歳頃までに半分以上、小学校入学頃までには8〜9割が制限なく卵を食べられるようになります。

2. 卵の「どこ」が「どんな時」にアレルギーを起こす?

卵アレルギーを正しく理解し、安全に食べていくためには、以下の2つのルールを知っておくことが大切です。

ルール①:卵白(白身)に要注意

卵のアレルギーの原因物質(アレルゲン)は、そのほとんどが「卵白」に含まれています。「卵黄」にもごくわずかに含まれていますが、卵白に比べるとアレルギーを起こす力はずっと弱いです。

ルール②:「加熱」によるアレルゲンの変化

卵のタンパク質は、熱を加えることで構造が変化し、アレルギーを起こす力が一気に弱まるという大きな特徴を持っています。 つまり、「生卵」や「半熟卵(温泉卵やスクランブルエッグなど)」は最も症状が出やすく、じっくり中まで火を通した「固ゆで卵」は最も症状が出にくい、ということです。

3. 血液検査の解釈:「卵白」「オボムコイド」「卵黄」

卵アレルギーが疑われる場合、血液検査(特異的IgE抗体検査)を行うことがありますが、検査項目には主に以下の3種類があります。

  • 卵白: 卵の白身に含まれるすべてのアレルゲンに対する反応の強さを示します。
  • オボムコイド: 卵白に含まれるタンパク質の一種ですが、「熱に非常に強い(加熱してもアレルギーを起こす力が弱まりにくい)」という厄介な特徴を持っています。
  • 卵黄: 卵の黄身に対する反応の強さです。卵白に比べて元々アレルギーを起こす力が弱いため、この数値が多少高くても、しっかり加熱すれば問題なく食べられることが多くあります。

【検査結果から読み取れることの目安】

  • 卵白が高く、オボムコイドが低い場合: 生卵や半熟卵では症状が出る可能性が高いですが、しっかり加熱してオボムコイド以外のタンパク質を変化させれば(固ゆで卵などにすれば)、安全に食べられる可能性が高いと推測できます。
  • オボムコイドも高い場合: 熱に強い成分に対してもアレルギー反応を持っているため、しっかり加熱した固ゆで卵であっても症状が出る可能性があり、より慎重に少しずつ進める必要があります。
  • 卵白が高いが、卵黄は低い(または陰性)場合: 離乳食の第一歩である「固ゆで卵の卵黄」は安全に進められる可能性が高い、という後押しになります。

ただし、血液検査はあくまで「目安」に過ぎません。 数値が高くても実際に食べられるお子様はたくさんいらっしゃいます。「数値が高いから完全除去」と決めるのではなく、実際に少しずつ食べて確認する「食物経口負荷試験」の結果が最も重要になります。

4. 離乳食での卵の進め方(基本のステップ)

「アレルギーが心配だから卵を1歳まで食べさせない」といった遅延は、かえってアレルギー発症のリスクを高めてしまいます。肌のスキンケアをしっかり行った上で、生後5〜6ヶ月頃から以下のステップで慎重に進めていきましょう。

  • ステップ1:固ゆで卵の「卵黄」から 沸騰したお湯で20分間しっかり茹でた「固ゆで卵」を作ります。白身が混ざらないように黄身だけを取り出し、耳かき1杯程度のほんの少しの量からスタートします。問題なければ、数日おきに少しずつ量を増やしていきます。
  • ステップ2:固ゆで卵の「卵白」へ 卵黄1個分が食べられるようになったら、いよいよ「固ゆで卵の卵白」に挑戦です。卵白はアレルギーを起こしやすいため、卵黄の時よりもさらに慎重に、耳かき1杯にも満たない「ほんのひとさじ」から始めます。

※初めて食べる時は、万が一症状が出た場合にすぐに病院へ行けるよう、平日の午前中に食べさせるのが鉄則です。

5. 加工食品やマヨネーズについての注意点

卵が含まれている食品は多岐にわたりますが、製造過程での「加熱具合」によって食べられるかどうかが変わってきます。

  • 食べられることが多いもの: クッキー、ビスケット、しっかり焼いたパンなどは、高温で長時間加熱されているため、アレルギーを起こす力が弱まっており、食べられるお子様が多いです。
  • 注意が必要なもの: マヨネーズは「生の卵黄(または全卵)」が使われており十分な加熱処理がされていないため、注意が必要です。また、茶碗蒸し、アイスクリーム、プリンなども中心部までしっかり火が通っておらず、半熟に近い状態のことが多いため、症状が出やすい食品です。

6. 症状が出た場合の受診と治療

もし、自宅で卵を食べて赤みやじんましんが出た場合は、まずは一度ご受診ください。(その際、何を・どのくらい・どんな調理法で食べたかをメモしておいていただけると非常に助かります)。

クリニックでは経過と検査結果を踏まえ、お子様にとって、どの程度の加熱具合の卵なら、どのくらいの量まで安全に食べられるかを見極めます。医師の指導のもとで「安全に食べられる形で卵を少しずつ食べて、体を慣らしていく」ことが、卵アレルギーを卒業するための最短ルートになります。

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