黒沢院長のまとめ
- 「長引く透明な鼻水」と「目をこするしぐさ」はサインかもしれません: 熱がないのに、サラサラとした鼻水や鼻づまりが続く場合や、目を頻繁にかゆがる場合は、アレルギーが原因である可能性が高いです。
- 鼻と目はセットで症状が出やすいです: 鼻の粘膜と目の粘膜(結膜)はつながっているため、花粉やダニなどの同じ原因物質(アレルゲン)によって同時に症状が引き起こされることが多くあります。
- 「たかが鼻水・かゆみ」と侮れません: 鼻づまりによる口呼吸の常態化や睡眠不足に加え、目を強くこすりすぎることで角膜(目の表面)を傷つけてしまう危険性もあります。
- お薬によるコントロールと根本治療があります: 飲み薬、点鼻薬、点眼薬(目薬)で症状を抑える治療のほか、ダニやスギ花粉に対しては、体質改善を目指す「舌下免疫療法」という選択肢もあります。
1. アレルギー性鼻炎・結膜炎ってどんな病気?
空気中を漂う花粉やダニのフン・死骸などの原因物質(アレルゲン)が、鼻や目の粘膜に入り込んだ際、体がそれを「外敵だ」と判断して過剰に反応してしまうことで起こります。この過剰な免疫反応によって、鼻水や鼻づまり、目の強いかゆみといった症状が引き起こされてしまいます。
お子様の場合、鼻と目の両方に症状が合併して現れることが非常に多いのが特徴です。
2. 風邪などの他の病気との見分け方と主な原因
風邪の鼻水は数日経つと黄色や緑色のドロッとしたものに変わることが多いですが、アレルギー性の場合は水のようにサラサラとした透明な鼻水が長く続きます。また、目の症状もウイルス性の結膜炎(はやり目など)とは異なり、目やにが少なく、強いかゆみと充血、涙目がメインになるのが見分けるポイントです。
主な原因(アレルゲン)によって、以下の2つのタイプに分けられます。
- 通年性アレルギー: ダニ、ハウスダスト、ペットの毛やフケなどが原因で、一年を通して症状が出ます。特にお子様のアレルギーではこのタイプが非常に多いです。
- 季節性アレルギー(花粉症): スギやヒノキ、ブタクサなどの花粉が原因で、特定の季節にのみ症状が出ます。近年は低年齢化が進んでおり、幼児期から発症するケースも増えています。
3. 日常生活やお子様の成長への影響
「熱もないし、いつものアレルギーだから」と放置してしまうのは少し危険です。
鼻づまりが続くと、睡眠の質が低下して日中もボーッとしてしまったり、学校の授業での集中力が低下したりすることがあります。息苦しさから口呼吸が習慣になると、歯並びや顎の発達に悪影響を及ぼしたり、のどの粘膜が乾燥して風邪を引きやすくなったりします。
また、目のかゆみを我慢できずに目を強くこすり続けてしまうと、角膜に傷がついて視力低下の原因になったり、そこから細菌が入って「とびひ」などの別の感染症を引き起こすきっかけにもなってしまいます。
4. 治療について
アレルギー性鼻炎・結膜炎の治療は、主に以下の3つの柱で行います。
【環境整備(アレルゲンの回避)】
最も基本となる対策です。こまめな掃除や換気、防ダニシーツの活用、空気清浄機の設置などを行い、お子様の身の回りから原因物質をできるだけ減らすように環境を整えます。
【お薬による治療(薬物療法)】
症状をしっかり抑え、快適な日常生活を送れるようにするための治療です。
- 飲み薬(抗ヒスタミン薬など): くしゃみや鼻水、全身の軽いかゆみを抑えます。お子様が学校生活で眠くなりにくいタイプのお薬も多数あります。
- 点鼻薬(鼻噴霧用ステロイド薬): 鼻の粘膜に直接働きかけ、強い鼻づまりや炎症を効果的に抑えます。
- 点眼薬(抗アレルギー目薬): 目のかゆみや充血を直接鎮めます。目をこすってしまう前に、早めに目薬でかゆみを抑えてあげることが大切です。
【舌下免疫療法(アレルゲン免疫療法)】
ダニやスギ花粉が原因の場合、根本的な体質改善を目指す治療法として「舌下免疫療法」があります。 アレルゲンを含むお薬を毎日少しずつ舌の下に含むことで、体をアレルゲンに慣れさせていく治療です。通常、5歳以上のお子様から開始することができ、鼻の症状だけでなく目の症状の軽減にも効果が期待できます。数年単位での継続が必要になりますが、将来的なお薬の量を減らしたり、症状を根本から和らげたりする大きなメリットがあります。




