黒沢院長のまとめ
- ウイルスが原因のいぼで、放っておいても自然に治ります: 自分の体に免疫ができるまで時間はかかりますが(半年〜数年)、最終的には跡を残さず自然に消えていく病気です。
- プールの水そのものではうつりません: 直接肌が触れ合ったり、タオルやビート板などを共有したりすることでうつります。水いぼがあるからといってプールに入れないわけではありません。
- 最大の予防・悪化防止はスキンケアです: 乾燥して肌のバリア機能が落ちていると、ウイルスが容易に侵入して一気に広がります。肌をツルツルに保つことが何よりの対策です。
- 当院では痛みを伴う「摘除」は行いません: お子様へのトラウマを避けるため、スキンケアを徹底しながら自然治癒を待つ「経過観察」を基本方針としています。
- 積極的な治療を希望される場合は、他院での治療が選択肢となります: 早期除去を希望される場合や、園のルール等でお困りの場合は、他院(皮膚科など)での摘除や新薬(ワイキャンス)による治療が選択肢となります。
1. 水いぼ(伝染性軟属腫)ってどんな病気?
「伝染性軟属腫(でんせんせいなんぞくしゅ)ウイルス」というウイルスが皮膚に感染することで発症します。 大きさは1〜5ミリ程度で、表面がツヤツヤして水滴のように見えるため「水いぼ」と呼ばれます。いぼの頂点が少し凹んでおり、中に白い芯のようなもの(ウイルスが詰まった塊)が入っているのが特徴です。
痛みやかゆみは基本的にはありませんが、気になってお子様が掻きむしってしまい、そこから細菌が入って赤く腫れたり、とびひ(伝染性膿痂疹)になったりすることがあります。
2. スキンケアが最重要
水いぼのウイルスは、健康でバリア機能が保たれた皮膚には簡単には感染しません。
しかし、乾燥肌やアトピー性皮膚炎などで皮膚がカサカサに荒れていると、そこからウイルスが容易に侵入してしまいます。さらに、肌が痒くて掻きむしった手で別の場所を触ることで、自身の体の中で次々と水いぼをうつしてしまい、あっという間に全身に広がってしまう傾向があります。
そのため水いぼの治療と予防においては、保湿剤をしっかり塗り、肌のバリア機能を正常に保つスキンケアが土台として極めて重要になります。
3. 感染経路、プールについて
「水いぼがあるとプールに入れない」と誤解されていることがありますが、プールの水そのものを介してウイルスがうつることはありません。
感染の主な原因は以下の通りです。
- 肌と肌が直接触れ合うこと
- ビート板や浮き輪の共有
- タオルなどの共有
したがって、水着やラッシュガード、水に強い絆創膏などで水いぼが覆われていれば、基本的にはプールに入っても問題ありません。ただし、園や学校によっては「水いぼが完全に治るまではプール禁止」という独自のルールを設けている場合があるため、事前に施設の方針を確認しておく必要があります。
4. 治療の考え方
水いぼは、時間が経てば(半年から長くて2年程度)、自身の免疫がウイルスに打ち勝って自然に治る病気です。医学的には「絶対に取らなければならない」というものではありません。
よって、当院ではお子様に強い痛みや恐怖を与えるピンセットでの摘除は原則として行いません。 保湿剤を用いて「健康でツルツルな肌のバリア」を作り直し、ウイルスの広がりを防ぎながら、自身の免疫で自然治癒するのを待つ方針をとっています。
「どうしても早く治したい」「保育園のルールの関係で早急に無くす必要がある」といった場合には、以下の治療が可能な他院(皮膚科など)の受診を選択肢としてご検討ください。
① 専用のピンセット(トラコーマ鑷子)でつまみ取る方法
- 特徴: ウイルスの芯を物理的に取り除くため、確実かつ即効性があります。
- デメリット: 事前に麻酔のテープを貼って痛みを和らげてくれる皮膚科も多いですが、それでもある程度の痛みと恐怖感を伴います。
② 新たな塗り薬「ワイキャンス(一般名:カンタリジン)」
- 特徴: 近年、水いぼに対して日本で初めて保険適応となった外用薬です。意図的に軽い水ぶくれを形成させて、ウイルスを排出させます。
- デメリット: 本剤は「劇薬」に指定されており、非常に取り扱いが難しいという特徴があります。医療機関にて医師や看護師が塗布して数分間待機させた後、16〜24時間後にご自宅で確実に洗い流すという厳密な管理が求められます。安全面への配慮等から、当院での本剤の導入時期は未定です。
5. ご家庭での注意点
- つぶさない・かきむしらない: 中にある白い芯(ウイルス)が周囲の皮膚につくと、一気に増殖します。お子様が気にして触らないよう注意し、爪は短く切っておきましょう。
- タオルの共有は避ける: ご家族内(特にきょうだい間)での感染を防ぐため、お風呂上がりのバスタオルなどは分けて使用してください。一緒のお風呂に入ること自体は問題ありません。




