黒沢院長のまとめ
- 突然出て、数時間で消えるのが特徴です: 蚊に刺されたような赤いふくらみが出て、跡形もなく消えたり、別の場所に移動したりします。
- 多くは食べ物のせいではありません: 食後すぐに症状が出た場合を除き、小児の蕁麻疹の多くは原因不明、あるいは風邪などの感染症が引き金です。
- 塗り薬より飲み薬が効きます: 皮膚の奥深くで起きている反応のため、抗ヒスタミン薬の飲み薬が治療の主役となります。
- 温めると悪化します: 血行が良くなると痒みが強くなるため、お風呂はぬるめのシャワーでサッと済ませましょう。
- 自己判断で薬をやめないこと: 症状が消えても、体の中の反応はくすぶっています。指示された期間はしっかり薬を飲み切りましょう。
1. 蕁麻疹ってどんな病気?
皮膚の一部が突然、蚊に刺されたように赤くふくらみ(膨疹:ぼうしん)、強い痒みを伴う病気です。 最大の特徴は「出没を繰り返す(移動する)」ことです。数十分から数時間で跡形もなくスッと消えたかと思えば、また別の場所に新しいふくらみが現れる、ということを繰り返します。
2. 「さっき食べた〇〇のせい?」
蕁麻疹が出ると、保護者の方は「夕飯で食べさせた魚が古かった?」「初めて食べたあの食材のせい?」と真っ先に食事を疑いがちです。
しかし、特定の食べ物を食べて「数十分以内(遅くとも2時間以内)」に出た場合を除き、お子様の蕁麻疹の原因が食べ物であることは実は少数です。 小児の急性蕁麻疹の7〜8割は「特発性(原因がはっきりしないもの)」か、または風邪などの「ウイルス・細菌感染」が引き金になって起こります。体調不良や疲れ、ストレスなども要因になります。 そのため、「念のため卵や牛乳を抜く」といった食事制限を行う必要は全くありません。
3. 治療とお薬について
蕁麻疹は、皮膚の表面ではなく、少し奥の方(真皮)の細胞から「ヒスタミン」という痒み物質が放出されることで起こります。
- 抗ヒスタミン薬(飲み薬): 治療の基本であり、主役です。ヒスタミンの働きをブロックすることで、痒みとふくらみを強力に抑えます。
- 塗り薬はあまり効きません: 皮膚の奥深くで起きている反応のため、表面にステロイドなどの塗り薬を塗っても、原因となっている部分までお薬が届かず、効果は限定的です。(※痒みからかきむしってしまい、湿疹になっている部分には塗り薬を処方することがあります)
【大切なお願い:薬をすぐにやめないでください】 飲み薬を飲んで蕁麻疹が消えても、体の中ではまだヒスタミンが出やすい状態(火種)がくすぶっています。自己判断ですぐに薬をやめると、またぶり返してしまうことが多いため、「症状が出なくなってからも、医師に指示された日数は薬を飲み続けること」が、早く確実に治すための最大のコツです。
4. お家でのケア
ヒスタミンは、体が温まって血行が良くなると活発になり、痒みを強くします。
- 冷やす: 痒みが強い部分は、保冷剤をタオルで包んだものや、冷やした濡れタオルで冷やしてあげると楽になります。
- 温めない: 熱いお湯での長風呂、激しい運動、こたつに入るなどは控え、ぬるめのシャワーでサッと汗を流す程度にしてください。
- こすらない: 衣服の締め付けや、こすれる刺激で蕁麻疹が誘発されることがあります。ゆったりとした服を着せましょう。
5. すぐに救急外来を受診するべきサイン
単なる蕁麻疹であれば慌てる必要はありませんが、以下のような症状が「同時に」現れた場合は、全身の強いアレルギー反応である「アナフィラキシー」の疑いがあります。昼夜を問わず、直ちに救急外来を受診するか、救急車を呼んでください。
- ゼーゼー、ヒューヒューと息苦しそうにしている。
- 声がかすれている、犬が吠えるような変な咳をしている。
- 唇やまぶたがパンパンに腫れ上がっている。
- 何度も繰り返し吐いている。
- 顔面蒼白でぐったりしている、意識がもうろうとしている。




