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子どもの「便秘症」について

黒沢院長のまとめ

  • 「毎日出ない=便秘」ではありません: 数日に1回でも、痛がらずにスッキリ出れば問題ありません。逆に、毎日出ていても「コロコロと硬い」「出すときに痛がって泣く」「血が混じる」場合は便秘症です。
  • 「痛いから我慢する」の悪循環が最大の敵です: 出すときの痛みがトラウマになり、ウンチを我慢してしまうことで、さらに便が硬く大きくなるという悪循環に陥ります。
  • お薬は「クセになりません」: 現在の小児便秘治療の主役である浸透圧性下剤(モビコールなど)は、腸を直接刺激しないため、長く使い続けてもクセになったり効きにくくなったりすることはありません。
  • 治療は「年単位」の根気が必要です: 便が柔らかくなっても、伸びきった腸が元のサイズに戻り、「排便は痛くない」と脳が学習するまでには数ヶ月〜数年かかります。自己判断での服薬中断は再発の最大の原因です。

1. 子どもの便秘ってどんな状態?(隠れ便秘に注意)

便秘症とは、単に「排便の回数が少ないこと」だけを指すのではありません。「便が滞ることによって、本人が苦痛を感じている状態」を便秘症と呼びます。

以下のような様子が見られたら、便秘のサインです。

  • ウンチがウサギのフンのようにコロコロしている。
  • 出すときに顔を真っ赤にしてきばったり、痛がって泣いたりする。
  • お尻が切れて血が出る。
  • 部屋の隅で立ったままクロスした足に力を入れたり、ソファの角にお尻を押し付けたりする(※これは「きばっている」のではなく、便が出ないように「我慢している」サインであることが多いです)。

2. なぜ便秘は長引くの?

子どもの便秘がなかなか治らないのには、明確な理由があります。

硬いウンチを出すときに「痛い」思いをすると、子どもは排便を怖がり、無意識にウンチを我慢するようになります。直腸(肛門のすぐ上の腸)に便が長く留まると、便の水分がどんどん腸に吸収されてさらに硬く、大きくなります。次に排便するときにはさらに強い痛みが生じ、お尻が切れてしまうこともあります。 この「痛み→我慢→より便が硬くなる→さらに痛い」という悪循環を断ち切ることが、便秘治療の第一歩となります。

3. 治療のステップと「浣腸」の重要性

小児の便秘治療は、主に以下の3つのステップで進めます。

ステップ①:溜まったウンチを出し切る(便塞栓の除去) 直腸にカチカチの大きな便(宿便)が栓のように詰まっている状態では、飲み薬を飲んでも効果が出ません。まずは浣腸を使って、詰まっている便を完全に空っぽにします。「浣腸はクセになるから避けたい」という保護者の方もいらっしゃいますが、これは医学的に誤りです。治療のスタートラインに立つための必須の処置です。

ステップ②:ウンチを柔らかく保つ(維持療法) 腸が空っぽになったら、飲み薬を開始して「痛みなくスムーズに出る柔らかいウンチ」を毎日キープします。この状態を長く続けることで、お子様の中から「ウンチ=痛い・怖い」という記憶を消していきます。

ステップ③:お薬からの卒業 毎日スムーズに出る状態が数ヶ月続いたら、少しずつお薬の量を減らしていきます。急にやめると高確率で再発するため、医師の指示に従って慎重に減量します。

4. お薬との正しい付き合い方

当院では、主に以下の飲み薬を使用します。

  • モビコール(ポリエチレングリコール製剤): 現在の小児便秘治療の世界的な標準薬(第一選択薬)です。腸管内に水分を保持し、便の水分量を増やして柔らかくします。腸を直接刺激しないため、お腹が痛くなりにくく、何年飲み続けてもクセになったり耐性ができたりすることはありません。
  • 酸化マグネシウム: モビコールと同様に便に水分を含ませて柔らかくするお薬です。古くから使われている安全な薬ですが、ごく稀に血液中のマグネシウム濃度が上がることがあるため、長期間使用する場合は定期的な採血確認が必要になることがあります。

※市販の刺激性下剤(センナ、アロエ、ピコスルファートなど)は、腸を直接刺激して無理やり動かすため、長期間使い続けると腸が疲弊し、自力で動けなくなる「クセになる」リスクがあります。日常的な使用は推奨されません。

5. お家でできるケア

  • 足の踏み台: 洋式トイレで足が宙に浮いていると、腹圧がかけられずウンチをうまく押し出せません。足がピタッとつく高さの踏み台を置いてあげてください。
  • 食後5分のトイレタイム: 食後は胃と結腸の反射で腸が動きやすくなります。朝食後や夕食後に、出なくても5分程度トイレに座る習慣をつけましょう。
  • 食事について: 食物繊維や水分を多く摂ることは大切ですが、すでに慢性的な便秘になってしまっている場合、食事療法だけで治すことは不可能です。食事改善はお薬による治療と並行して行う補助的なものとお考えください。

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