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子どもの「クループ症候群」について

黒沢院長のまとめ

  • 声帯の下が腫れて息苦しくなる病気です: ベースは「かぜ」ですが、ウイルス感染により空気の通り道が極端に狭くなり、「ケンケン」「オットセイの鳴き声」のような独特な響く咳が出ます。
  • 年齢とともに「卒業」する病気です: 成長して空気の通り道が太くなると、クループにはならなくなります。主に生後6ヶ月〜3歳頃の小さな子どもの病気です。
  • 治療のステロイド内服は「1回」のみ: クループ症候群に対しては、長くしっかり効くステロイド薬を1回だけ処方します。ぜんそくのテープやせきどめは無効です。

1. クループ症候群ってどんな病気?

主にウイルス(パラインフルエンザウイルスやRSウイルスなど)が原因で、のどの奥にある「声帯(声を出すところ)」とそのすぐ下の部分がパンパンに腫れてしまう病気です。病気のベースとしては「かぜ」であることがポイントです。

そしてこの病気の最大の特徴は、「小さなお子様にしか起こらない」ということです。 生後6ヶ月から3歳くらいのお子様は、空気の通り道がストローのように細く柔らかいため、少し腫れただけで極端に通り道が狭くなってしまいます。しかし、成長して小学生くらいになると、空気の通り道が太く・硬くしっかりしてくるため、かぜをひいてのどが腫れても、クループと呼ばれるような息苦しい状態には基本的にはならなくなります。

2. 「ケンケン」という咳について(誤解されやすいポイント)

声帯の周辺が腫れて空気の通り道が狭くなると、そこを空気が無理やり通ろうとして、声がかすれたり、トランペットや犬の遠吠えのような「ケンケン」「オットセイの鳴き声」といった独特な響く咳(犬吠様咳嗽:けんばいようがいそう)が出ます。

保護者の方から「ケンケンしているからクループのお薬をください」と言われることがありますが、犬吠様咳嗽=クループ症候群というわけではありません。 気管支喘息の発作による咳がそのように聞こえたり、普通のかぜの咳が響いて聞こえたりすることもあります。クループではないのにクループの強いお薬(ステロイド)を使うのは適切ではありませんので、必ず医師が呼吸の音やのどの状態を直接確認して診断します。

3. 治療について

クループの治療は、原因となっているウイルスの退治ではなく、「空気の通り道の腫れを素早く引かせること」が目的になります。

  • 特効薬はステロイド(当院では原則1回のみ): のどの腫れを強力に抑えるステロイドの飲み薬(デカドロンなど)を使用します。1回の内服で効果が長く続くお薬です。この1回で腫れを引き、一番苦しいピークを安全に乗り切ることができます。 なお、ステロイドは空気の通り道を広げて「息苦しさを取る」ためのお薬であり、咳の回数を減らす効果はありません。呼吸が楽になった後も、かぜの治癒過程として咳そのものは数日続くことがありますが、息苦しさがなければ心配いりません。
  • 吸入治療(ボスミン吸入): 呼吸の苦しさが強く、空気の通り道がかなり狭まっていると判断した場合の「緊急的な処置」として行います。一時的に腫れを引かせる効果は高いですが、全例に対して行うものではありません。
  • せきどめ・気管支拡張薬(テープ)は無効です: 一般的なかぜの「せきどめ」は効果がありません。また、クループは「のどの奥(上気道)」の病気であり、気管支(下気道)が縮む喘息とは全くメカニズムが異なります。そのため、ホクナリンテープやモンテルカストなどの気管支喘息の薬を使用しても、症状を和らげる効果はありません。

4. すぐに救急外来を受診する「危険なサイン」

クループは夜間に急激に悪化することがあり、まれに窒息の危険を伴う「喉頭蓋炎(こうとうがいえん)」という非常に重篤な細菌感染症が隠れていることもあります。以下のサインが見られたら、すぐに救急外来を受診してください。

  • 息を吸うときに胸や首の付け根がペコペコ凹む(陥没呼吸)。
  • 苦しくて横になって眠れない、座っていないと息ができない。
  • 唇や顔の色が青紫色になっている(チアノーゼ)。
  • よだれをダラダラ流して、つばを飲み込めない
  • 意識がぼんやりしている、ぐったりしている。

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