黒沢院長のまとめ
- 「ゼーゼー」がない時も治療が大切: 発作が出ていない時も、空気の通り道(気管支)では火種(慢性的な炎症)が続いています。
- 基本のセット: モンテルカストやプランルカストといった、火種を鎮めるお薬を毎日続けることが最も重要です。
- 発作が起きたら: 即効性のある吸入薬(メプチンなど)で、直接気管支に届けて広げるのが一番確実で安全な方法です。
- 減量の目安: 症状が全くない状態が3〜6ヶ月続いてから、慎重にお薬を減らしていきます。
1. 気管支喘息ってどんな病気?
喘息は、空気の通り道である「気管支」が慢性的に腫れて(炎症)、とても敏感になっている病気です。 敏感になった気管支は、ダニやホコリ、冷たい空気、運動、そして「かぜ」などのちょっとした刺激でキュッと狭くなってしまいます。その時に「ゼーゼー」「ヒューヒュー」という音がしたり、激しい咳が出たりします。これが「喘息発作」です。
2. 喘息の治療で最も大切な考え方
多くの方が「ゼーゼーした時にお薬を使えばいい」と考えがちですが、実はここが一番の落とし穴です。 ゼーゼーという発作が出ていない時でも、気管支の粘膜には「火種(慢性的な炎症)」が残っています。この火種を放っておくと、気管支がだんだん厚く硬くなってしまい、将来的に治りにくくなってしまいます。 そのため、喘息の治療は「発作が出ないように、毎日火種を消し続けること」が何よりも重要なのです。
3. 当院で主に使用するお薬
喘息のお薬は、役割によって大きく2つのグループに分かれます。
【毎日使うお薬(長期管理薬:コントローラー)】
気管支の火種を根本からじっくり消していく、治療のメインとなるお薬です。
- ロイコトリエン受容体拮抗薬(モンテルカスト、プランルカストなど): 気管支の腫れを抑え、アレルギー反応を鎮める飲み薬です。
- 吸入ステロイド薬(フルタイド、パルミコート、オルベスコなど): 炎症を抑える力が最も強いお薬です。直接気管支に届くため、全身への副作用はほとんどありません。
【発作の時に使うお薬(発作治療薬:リリーバー)】
狭くなった気管支を一時的に広げて、今ある苦しさを取るためのお薬です。
- 吸入薬(メプチン、ベネトリンなど):当院の推奨 霧状のお薬を直接肺に吸い込みます。「今すぐ広げたい場所(気管支)」に直接届くため、極めて少量で即効性があり、全身への副作用も少なく、発作を止める力が最も強い方法です。
- 飲み薬(メプチンシロップなど)や貼り薬(ツロブテロールテープなど): これらは一度血液の中に吸収されてから気管支に届くため、効果が出るまでに時間がかかります。また、全身に薬が回るため、吸入薬に比べると動悸(心臓がドキドキする)や手の震えなどの副作用が出やすい傾向があります。「今すぐこの発作を止めてあげたい」という場面では、吸入薬に比べると効率的ではありません。
4. いつまでお薬を続けるの?
「調子が良さそうだけど、いつまで飲ませればいいの?」という不安は、どの保護者様も持たれるものです。 医学的なガイドラインでは、症状が全くなく、安定した状態が3ヶ月から6ヶ月以上続いた場合に、お薬の減量(ステップダウン)を検討します。
焦ってお薬をやめてしまい、また発作が起きてしまうと、せっかく鎮まりかけた炎症が再び燃え上がってしまいます。そうなると、また最初からやり直しになってしまいます。 「症状がない=治った」ではなく、「症状がない=お薬が効いて良い状態が保てている」と捉えてください。良い状態をしっかりキープした後に、医師と相談しながらゆっくりと出口を目指しましょう。




