黒沢院長のまとめ
- 「すり込み」はNGです: 肌の表面に優しく「乗せる」ように塗るのが基本です。ゴシゴシすり込むと、摩擦でかえって肌を傷つけてしまいます。
- 塗る量は「ティッシュがくっつく」くらいが目安です: 多くのお母さん・お父さんが塗っている量は、実は「少なすぎ」ることが多いです。たっぷりと塗ることが効果を引き出すカギです。
- 目安の量を知る「FTU(フィンガーチップユニット)」: 大人の人差し指の第一関節までの長さの量(約0.5g)で、大人の手のひら2枚分の面積に塗るのが医学的な適量です。
- 塗るタイミングは「お風呂上がりすぐ」が鉄則です: 肌の水分が逃げてしまう前に、5分以内を目安に素早く全身に塗りましょう。
1. どうして「正しい塗り方」が大切なの?
せっかく良い保湿剤やステロイドのお薬を処方されても、「塗り方」や「塗る量」が間違っていると、本来の効果の半分も発揮されず、なかなか湿疹が良くならない原因になってしまいます。
診察室で「毎日しっかり塗っています」とおっしゃる親御さんでも、実際に塗ってもらうと「量が少なすぎる」ことや、「強くすり込みすぎている」ケースが非常に多く見受けられます。正しい塗り方をマスターすることは、アトピー性皮膚炎や乾燥肌の治療における最も重要なステップです。
2. どれくらい塗ればいいの?(FTUという考え方)
お薬の適切な量を知るための世界的な基準として、「FTU(フィンガーチップユニット)」という単位があります。
- 1 FTUの量: チューブタイプのお薬を、大人の人差し指の「指先から第一関節まで」真っ直ぐ出した量(約0.5g)です。
- 塗れる範囲: この「1 FTU」の量で、ちょうど「大人の手のひら2枚分」の面積に塗るのが正しい量です。ローションタイプの場合は「1円玉大」が約1 FTU(手のひら2枚分)に相当します。
「ティッシュがくっつく」がサイン
全身に塗った後、肌がテカテカと光り、ティッシュを1枚ペタッと乗せても落ちないくらいが、十分な量が塗れている目安です。「ちょっとベタベタしすぎかな?」と思うくらいが、実は肌にとっては正解なのです。
3. 正しい塗り方のコツ
お薬や保湿剤は、肌の表面にフタをして守るためのものです。
- 点置きして広げる: まず、塗る範囲にちょんちょんと数カ所に分けてお薬を置きます。
- 優しく乗せるように: 手のひら全体を使って、シワの方向に沿って(横方向に)優しく広げます。
- すり込まない: ゴシゴシと力を入れてすり込んでも、肌の奥に浸透するわけではありません。むしろ摩擦の刺激でかゆみが増したり、肌のバリアを壊してしまいます。「肌に優しく乗せる、コーティングする」イメージで塗りましょう。
4. 塗るタイミングと順番
お風呂上がり「5分以内」が勝負!
お風呂から出た直後から、肌の水分は急速に蒸発し始めます。バスタオルでゴシゴシ拭かず、ポンポンと軽く水分を押さえるように拭き取ったら、体が完全に乾ききる前(5分以内)に素早く保湿剤を塗りましょう。
塗る順番(保湿剤とステロイド)
保湿剤(全身)とステロイド(湿疹の赤みがある部分)を両方処方されている場合、基本的な順番は以下の通りです。
- まず保湿剤を全身に: 全身にたっぷりと保湿剤を塗って、肌全体のベース(土台)を作ります。
- 次にステロイドを部分的に: 赤みやブツブツなど、炎症が起きている部分にだけステロイドを「重ね塗り」します。




